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2019年9月21日 ブッダの生涯

★田中治郎先生との出会い 

        (カルチャークラブ 水出俊子 記)

  若葉に強く陽が照りつける5月のある日、私は知人の紹介を受けて南柏のふるさとセンターで行われているという、田中先生の仏教講座にうかがった。

 教室のような部屋にはすでに7,8名のメンバーが机や椅子を運び出し準備に余念が無い。やがて田中治郎先生が姿を現し、講座が始まった。当日のテーマは『一遍と時宗』だった。

 メモを見ながらそれを一気に読み上げる姿を拝見しながら、穏やかな風貌の中に、仏教そのものへのただならぬ熱意を感じた。やがて、お茶の時間となり、生徒さんが手馴れた調子でお菓子とお茶を全員に配る。聞けば、それは田中先生ご自身がいつも持参して皆さんに供されるという。少し緊張がほぐれたところでメンバーの皆さんが今日の講座の感想や先生への質問を一人ずつ語っていく。

 そんな教室の雰囲気の中にいて「この先生はご自分の話を聴いて下さる方々に自ら茶菓まで用意して、真摯に取り組んでおられる」、その謙虚で自らを削るようにしてまで、伝えたいと思うことを必死に伝えようとする姿に心打たれた。

★『ブッダの生涯』について

 田中先生によれば、30年来ずっとあこがれていたブッダの生涯をたどるインドへの旅から帰られたばかりだということだった。講座終了後、私は迷わずまつばRでの講演を『ブッダの生涯』のタイトルでお願いすることにした。

聞くところによると、先生は大病を患ったため、食後はしばらく安静にしていないと具合が悪くなるという体調を押して、長旅に出られたという。早朝から旧式のバスに乗り、何時間も揺られた末に現地にたどり着くという日々を重ねて『ブッダの旅』を敢行されたというのだ。まるで修行僧のように。

 そのような命がけの旅から帰還して間もなくの、ブッダの生涯とご自身の旅とが重なり合うお話しをしてくださるという田中治郎先生を、まつばカルチャークラブ主催の9月講演会にお迎えする。


講師紹介:1946年宮城県生まれ。鈴木出版(株)にて長年児童書、仏教書の編集に携わる。また、編集プロダクション(株)みち書房を経営するかたわら、仏教書、エッセイ、小説などの執筆にあたる。『仏教のことが面白いほどわかる本』、『釈迦の本』、『死と来世の本』など著書多数。